どのSNSを使えばいい?主要なSNSの特徴と選び方
SNSで集客したい!でも、どうすれば…
まだ世間にあまり知られていない商品・サービスを提供している事業者が、認知度を上げて集客するためには、自分から情報を積極的に発信していくことが重要です。その際、Webサイトを持つよりも気軽に(しかも無料で)利用でき、国内の利用者も多いSNSは、情報発信ツールとしての存在感が高まり続けています。一方で、「SNSを使ったことはまだないが、集客するために使った方がいいと言われた」「どのSNSを使うのがいいか」という事業者の相談を受けることは今でもよくあります。ここでは、同じような思いをお持ちの方に向けて、SNSの概要と選ぶポイントについてお伝えします。
主要なSNSの特徴
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、「利用者同士が交流できるWebサービス」のことを指します。一般的なSNSの共通点として、
- 無料で利用できる
- (文字や画像、動画で)情報を発信できる
- 他の利用者が発信した情報を見ることができる
- 他の利用者が発信した情報に反応(いいね、コメント、シェアなど)できる
- 今後、他の利用者が発信する情報を継続的に見ることができる(フォロー)
といった特徴が挙げられます。
次の表は、国内で使われている主なSNSの一覧です。新規の顧客を集める場合には、Facebook、Twitter、Instagramのいずれかを利用するケースが多いので、以下では簡単にこの3つのSNSの特徴を紹介します。なお、一覧の中で、YouTubeは動画専用で他のSNSと比べると情報発信のハードルが高く、LINE(LINE公式アカウント)は既存の顧客との関係性を強めるのに向いています。また、若い世代を中心に利用者が増えているTikTokなど、他にも多くのSNSがあります。
- 実名での利用が必要とされている点が特徴。
- Facebook離れが進んでいると言われているが、現在でも世界で最も利用者が多い。
- ビジネス向けの専用ページ(Facebookページ)を作成可能。
- 最大140字の投稿文字数制限が大きな特徴。
- つぶやくように投稿(Tweet)できるため、リアルタイム性が強く拡散しやすい。
- 一定の要件を満たせば、ビジネス向けのプロアカウントを利用可。
- 写真に特化したSNS。Facebookと同じMeta社が運営。
- スマートフォン向けのSNSだったが、現在はパソコンからも投稿できる。
- ビジネスアカウントを作成可能。
どのSNSを利用すればいいのか?
特徴がわかったところで、次にぶつかるのが、どのSNSを利用すればいいのか、という疑問です。極端に言えば、この3つに限らず無料で使えるSNSはすべて使った方が、それだけ自社の商品・サービスを広める機会につながります。ただ、専任の担当者がいるような企業であれば別ですが、実際には本業で忙しい中小規模の経営者が、多数のSNSでの情報発信に没頭できるわけがありません。では、最初に利用するSNSは、どのように選べばいいのでしょうか。
利用するSNSの選び方‐ターゲット顧客に情報が届きやすいか‐
最も重要なのは、そのSNSを使って情報を発信することで、ターゲットとして想定している顧客層に情報が届きやすいかどうかです。次の表は、総務省の調査結果からの抜粋ですが、これを見ると年代・性別によって利用しているSNSに差があることがわかります。
たとえば、Facebookは、Twitter、Instagramに比べて10代・20代の利用が極端に少なく、60代以上では多いことがわかります。逆に、Twitter、Instagramは、10代・20代の利用率が高く、さらにInstagramは男性よりも女性の利用率が高いという結果が出ています。この利用状況を踏まえて、自分のターゲット顧客の利用の多いSNSを選ぶのが妥当です。たとえば、若い女性をターゲットにしている商品ならば、Facebookによる情報発信はあまり効果的ではなく、Instagramの方が適当である可能性が高いと言えます。また、新卒採用が目的であれば、若い層の利用が多いTwitterを利用するといったように、SNSを利用する目的によっても選択は変わるでしょう。
利用するSNSの選び方‐自分の商品・サービスとの相性を考える‐
次に考えたいのは、SNSと自分の商品やサービスの相性です。商品・サービスに対する理解度を高めたい場合は、一度に多くの情報量を発信できるFacebook、見映えのいい商品(”インスタ映え”する商品)を扱っている場合は、Instagramを利用する、といった具合です。ただ、撮影する自分の商品がないサービス業でも、写真ではなく文字を中心とした画像を作成してInstagramで集客に成功している事例も多くあります。上述の通り、ターゲット顧客に情報が届きやすいSNSかどうかがより重要と言えそうです。
SNS初心者向けの注意点
ビジネスで初めてSNSを利用する方が陥りがちな注意点
次に、「プライベートではSNSを使っていたけれど、ビジネスでは初めて利用した」といった方が陥りがちな注意点について説明します。
ビジネスアカウント/ビジネスページを利用する
SNSによっては、個人の利用を想定した個人アカウントと、ビジネスでの利用を想定したビジネスアカウント/ビジネスページがあります。ビジネスアカウント/ビジネスページでは、ビジネス情報の表示やインサイトと呼ばれる分析機能など、個人アカウントとは異なるビジネス向けの機能を利用することができます。個人アカウントで多数のフォロワーがいる方も、ビジネスで使う場合は必ずビジネスアカウント/ビジネスページを利用しましょう。主要なSNSのビジネスアカウント/ビジネスページは以下の通りです。
- ビジネス用のページであるFacebookページを作成して利用します。なお、Facebookは、利用規約やヘルプに「私的利用を目的としてアカウントを利用すること」「個人用プロフィールは非営利目的で個人が使用するためのもの」とあり、個人アカウントでの商用利用が禁止されています。
- 従来、個人とビジネス用途でのアカウントに区別はありませんでしたが、2021年にビジネス向けのProアカウントができました。Proアカウントは通常のアカウントから切り替えて使えるようになります。ただし、Proアカウントに切り替えるには要件があり、誰でも使用できるわけではありません。いずれにしろ、アカウントの作成方法はひと通りですので、現状は通常のアカウント作成でOKです。
- ビジネス用のアカウントとしてプロアカウントがあり、2種類のアカウントタイプ(「クリエイター」または「ビジネス」)のいずれかを選択します。Twitterと同じく、プロアカウントは通常のアカウントから切り替えて使いますが、特に審査はなく誰でも利用可能です。プロアカウントに切り替えることで、自分のFacebookページと連携させることもできます。
Facebookのビジネス利用
ビジネスアカウント/ビジネスページに関して、誤解しやすいのがFacebookです。上述のように、Facebookのビジネス用のページのことを「Facebookページ」または単に「ページ」と呼びますが、この名称がビジネス用とわかりにくいため、通常の個人アカウントとFacebookページの違いを知らずにビジネス利用しているケースが多く見受けられます。また、前項で触れているように、Facebookは実名での利用が求められており、ビジネスで利用する際もまず個人アカウントでログインし、その上でビジネス用のページであるFacebookページを作成して利用します。通常の個人アカウントをビジネス用のプロアカウントに切り替えて利用するTwitterやInstagamとは、この点で大きく異なります。
特定の個人アカウントにFacebookページの管理権限や編集権限を付与することで、複数のメンバー(個人アカウント)でページを管理することができます。たとえば、自分でFacebookページを作成した場合でも、スタッフの個人アカウントに編集権限を付与すれば、そのスタッフもFacebookページで記事を投稿することができるようになります。この際、投稿者名にはFacebookページのビジネス名が表示されるので、スタッフの個人名が表示されることはありません。TwitterやInstagamでは、複数のメンバーで管理する場合でも、同じアカウントでログインして投稿することになります。
ビジネスが軌道に乗ったらWebサイト(ホームページ)も持つ
プライベートでSNSを利用することが一般的になり、ビジネスに関する情報発信をSNSから始められる方が増えています。SNSから始めること自体はまったく問題ないのですが、ビジネスが軌道に乗ったらやはりWebサイト(ホームページ)を持つことが望ましいです。その理由は以下の通りです。
- SNSだけではSNSアカウントがない人には情報が届きにくい。
- SNSの情報の信頼度は基本的に低い。
- SNSのアカウントが停止されるなど、利用できなくなる可能性がある。
特に2点目についてですが、匿名性の高いSNSはデマが拡散することも多く、情報の信頼度が高いとは言えません。一方で、事業者がWebサイトを持つことはあって当然のようになってきています。初めて取り引きすることになった相手が、Webで検索してもこちらのWebサイトが見つからなければ、不安を感じてしまうことは避けられないでしょう。Webサイトから積極的に集客するつもりがなくても、こちらの情報を求めてピンポイントで検索された場合に備えて、事業概要がわかるくらいの情報は最低限掲載しておくようにしましょう。
また、多くのSNSは無料で利用することができますが、何らかのペナルティを受けたり、アカウントが停止されてしまったりすることも珍しくはありません。利用しているSNSのサービス自体がなくなってしまうこともあり得ます。経営を無料のサービスに委ねてしまうことのリスクも認識しておく必要があります。
SNSを集客に活かすための考え方
SNSで集客するために
集客の柱になるほどアカウントのフォロワー数を大きく増やすのは容易ではありません。最後に、SNSで集客するための取り組みについて見ていきます。
まずは目的を明確に
そもそもSNSはどのような目的で使うのでしょうか。前々項でも触れたように、想定しているターゲットや目的によって利用するSNSの選択も変わってきますし、SNSで発信する内容も変わってくるでしょう。
たとえば、自分の商品・サービスの認知度向上、新規顧客の獲得が目的であれば、なるべく多くの人に届くように拡散されやすい内容を検討する必要がありますし、フォロワー数の増加も重要な要素になってきます。一方で、既存顧客のリピート利用を促進することが目的であれば、新商品・新サービスの告知やキャンペーン情報、営業日に関する案内などを発信することが多いかもしれません。投稿の内容でフォロワー数の増加を狙うのではなく、来店時やサービス利用時にアカウントのフォローを促すようなオフラインでの取り組みの重要度が高まります。
また、SNS単独で集客するのか、SNSは事業用のWebサイトへの誘導を目的にするかによっても、発信する内容は変わってくるでしょう。後者の場合、SNSは集客装置であり、必ずしもSNSで自分の商品・サービスの紹介をする必要はないからです。このように、目的によって発信する内容は当然変わります。
SNSの仕組み(アルゴリズム)の視点を意識する
SNSの投稿によって未知の潜在顧客の関心を引くためには、当たり前ですが、その投稿が多くの人に対して表示される必要があります。SNSの利用者であれば、他人の投稿が表示されるタイムラインやフィードと呼ばれる画面で、自分が興味のある情報が表示されていたので、その投稿をタップ(クリック)した経験がある、という方は多いでしょう。
では、タイムラインやフィードに表示される投稿はどのように決まるのでしょうか。これも当たり前ですが重要な前提として、表示される投稿や表示順は、そのSNSの仕組み(アルゴリズム)が決めています。端的に言えば、そのSNSに評価された投稿、あるいはSNSに評価されたアカウントによる投稿は多くの人に表示されやすいということです。開設したてのアカウントと、以前から多くの投稿をしていて活発に交流しているアカウントでは、まったく同じ内容の投稿をしたとしても、後者の投稿の方が表示されやすくなります。
SNSで集客するために、まずは2つのことを心がけてみよう
この仕組みの詳細はブラックボックスですが、SNS(のアルゴリズム)に評価されるために、まずは以下の2点を心がけましょう。
- 共感を呼ぶ投稿内容にする。
⇒多くのいいねやコメントがついたりシェアされたりすれば、その投稿に対するSNSからの評価が上がり、さらに拡散されやすくなります。 - SNSの中で積極的にコミュニケーションを取る。
⇒毎回投稿のコメント欄が盛り上がっているようなアカウントは、SNSを利用することの魅力アップに貢献していることになりますので、SNSからの評価が高まると考えられます。自分の投稿についたコメントには必ず返信するようにしましょう。
「リツイートしてくれたら○円引き」のように、何らかのキャンペーンに応募するために、その事業者のアカウントのフォローや、投稿のシェア、コメントが条件になっていることがよくあります。単純にリツイートによる拡散を狙っていることも多いと思いますが、効果はそれだけではなく、多くの事業者はキャンペーンによってフォローやコメントを集めることでSNSからの評価を高め、自分のアカウントの発信力をより高めているわけです。
共感を呼ぶ投稿内容とは?
前項で「共感を呼ぶ投稿内容にする」ことを心がけると書きましたが、実際にはこの実践がSNS活用の一番難しいところです。思わずコメントやいいねをしたくなるような面白い投稿、インパクトのある投稿が有効なのは誰でもわかると思いますが、そのような内容を考え出すのは難しいですし、それを継続するのはもっと難しいでしょう。
どのような内容を発信していけばよいのか、という問いに対して正解はありませんが、ポイントは「自分の商品・サービスの話ばかりしない」ということです。自分の商品・サービスの話ばかりしているアカウントが共感を呼ぶことは少ないからです。むしろ、共感を集めてさらに発信力を高めているような事例では、事業に関連するノウハウやお役立ち情報を投稿し、自分の商品・サービス自体にはほとんど触れていないことも多いです。
集客につなげるために
SNSで情報を発信し始めたものの、一向に集客に結びつかず、そのうち放置状態になってしまったという方も多いのではないでしょうか。作ったばかりのアカウントで、すぐに集客につなげることはほぼ不可能です。あまり考え過ぎていても仕方ありませんが、ある程度慣れたところで、どんな情報を発信するのが効果的か、そもそもSNSを利用する具体的な目標は何か、を一度よく考えてみましょう。